ブラジルは、これまでの授業でも、日本史における日本人の移民の話、公民や地理では、アマゾンの自然の話、日本への鉄鉱石の輸出の話、日系人の労働者の日本での就労の話、等々で登場する機会がありました。
G7とBRICsの2004年のGDP見込み。
『朝日新聞』(2005年2月6日)より
※単位は10億ドル
順位 |
国名 |
GDP |
1 |
アメリカ |
11,750 |
2 |
日本 |
4,621 |
3 |
ドイツ |
2,672 |
4 |
イギリス |
2,128 |
5 |
フランス |
1,986 |
6 |
イタリア |
1,649 |
7 |
中国 |
1,601 |
8 |
カナダ |
970 |
12 |
インド |
654 |
14 |
ロシア |
571 |
16 |
ブラジル |
558 |
2005年2月にロンドンで開催された、主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(通称G7)には、すでに主要国首脳会議(G8)のメンバーとなっているロシアの他に、中国・インド・ブラジルが招かれました。(ロシアは欠席)
中国は前回も招かれていましたが、インド・ブラジルは初めてです。国際経済を動かすには、BRICsも引き込まなければうまくいかない状況となってきたわけです。
(なおこの会議には、南アフリカも招かれました。) |
|
しかし、これからは、新しい勢力として、それまでとは異なる登場の仕方をする場合が多くなると思われます。
それは、国際経済におけるBRICsの一員としてです。
BRICsというのは、英語のBrick(煉瓦)を模して作られた造語で、B(Brazil)、R(Russia)、I(India)、C(China)の4カ国を示す言葉です。
この言葉は、経済用語としては、まだ使われ始めたばかりです。
2003年10月1日に、アメリカの大手証券会社、ゴールドマン・サックス(Golodman Sachs)社が、投資家向けに発表したレポート「Dreaming With BRICs:The Path to 2050」(「BRICsと夢見る2050年への道」)の中で、初めて使いました。
したがって、このBRICsという用語は、2004年時点では教科書にはまだ使用されていませんが、やがて授業でも話題に上る言葉となるでしょう。
ゴールドマン・サックス社のレポートは、なかなか衝撃的なものでした。
BRICs諸国は現在は、まだ発展途上ないしは、発展しつつも混乱を引きずっている国という印象が強いですが、レポートによると、今後、現在のペースで発展を続けると、とんでもない大きな経済勢力になります。
つまり、現在BRICs4カ国のGDP(国内総生産)の合計は右の表のとおりで、合計してもアメリカ1国の4分の1です。
しかし、2039年までには、現在の1位から6位の国々アメリカ・日本・ドイツ・イギリス・フランス・イタリアのGDPの合計を上回ってしまいます。
さらに、2050年には、GDPの順位が、1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位日本、5位ブラジル、6位ロシア、7位イギリスとなり、中国がアメリカを抜いて、1位に躍り出ると予測されています。
これらの国々の成長要因は次のとおりです。
|
Brazil
|
Russia
|
India
|
China
|
国土が広い |
851万平方km |
1707万平方km |
329万平方km |
960万平方km |
人口が多い |
1億7238万人 |
1億4440万人 |
10億1754万人 |
12億8497万人 |
鉱産資源が豊富 |
鉄鉱石、ボーキサイト、錫など |
石油、天然ガス、石炭、鉄鉱石、銅など |
鉄鉱石、石油など |
石炭、石油、天然ガス、鉄鉱石など |
※人口は、『2003/04 日本国勢図会』P15〜P21世界の国々より
さて、その中でブラジルを取り上げます。
つまり、他のインド・ロシア・中国に比べると、サッカーファン以外には、日本には今ひとつなじみのない国ブラジルをいかに教材にするかです。
まず、基本的指標です。
ブラジルは、国土面積では、中国よりやや小さい程度です。これも意外です。(もちろん日本とは桁違いで、日本の37万平方kmの22.5倍あります。
次に人口です。これも、日本よりも4500万人以上多く、この差は、今後ますます大きくなります。あと数年で人口が減少する日本と違って、ブラジルは今後も人口は増加します。
以下は、第一生命経済研究所門倉貴史さんの「2005年のBRICs経済見通し(ブラジル・ロシア編)」を参考にしました。
低迷していたブラジル経済は、2003年後半から好転し始め、04年第3四半期(7月〜9月)の実質GDP成長率は、対前年比6.1%増加となりました。この成長率は、1996年以来の高い数字です。この結果、2004年のGDPは4.5%程の成長となると見込まれています。
また、2005年に関しては、中国経済の減速による輸出減少が避けられないものの、全体を通しては、隣国アルゼンチンの好景気による輸出の増加など、輸出増と内需の拡大ともに期待ができ、年率4.0%程度の成長は維持できると考えられています。 |