日本の文化4
<解説編>

1003  外国から見た日本人、日本社会1 ルイス・フロイスの感じた日欧の違い。       | 問題編へ |

「現代社会」での日本論、日本社会論           | このページの先頭へ |

 科目「現代社会」の「第1章 現代の社会生活と青年」の部分では、「日本人のものの考え方」という学習内容があります。
 日本人の「自然観」「神に対する考え方」「武士道的な考え方」「恥の文化」など、現代の日本人や日本社会につながる、「日本人の基層意識」を中心に学習する部分です。
 この導入として、日本が外国人の目にどう映っているかを考えます。「日本人」や「日本社会」の特色をとらえる基礎となり、生徒諸君の思考を広げていくきっかけとなります。


ルイス・フロイスの見た日欧文化の違い         | このページの先頭へ |

 お待たせしました。答えです。下のヒントを読んで、答えが決まったら、黒板をクリックしてください。正解が現れます。(黒板一枚分、一度に全部現れます。)

【ヒント】 

 食事について、今の日本人は、フランス料理などのマナーを学ぶ必要がありますが、16世紀にはそんな必要はありませんでした。西洋はまだ「野蛮」な状態でした。世界史におけるフランス料理の成立につながります。

 〔2〕を使った軍団に対する間違ったイメージがあるため、難しい問題となっています。これについては、別の所で解説しています。「目から鱗の話 銃砲と歴史 長篠の戦い3」をご覧下さい。こちらです。

 男女の婚姻の形態は、むしろ、明治時代になって一番固いものとなりました。安土桃山時代も江戸時代も、もっと堅苦しくない状況でした。
 ここの内容は、日本史学習における、鎌倉時代に「女性の地頭がいた」こと、江戸時代の「三行半」(離縁状)の実情など、中世・近世の婚姻や女性の社会的立場の学習へつながります。

 鎌倉時代以降、肥料の利用が進み、〔4〕は貴重な肥料となっていました。鎌倉・室町・江戸時代に学習する農業技術発達史へとつながります。


【ヒント】 

現在の常識では、帆船の帆は布(化学繊維も含めて)以外何を使うのだと思えます。しかし、帆の材料である木綿の栽培が日本で広がるのは、室町時代の後半になってからでした。それまでは、〔5〕製でした。教科書の日明貿易のの貿易船の帆は、〔5〕で描かれています。
安土桃山時代には、布製の帆も少しは出回っていたはずですが、ルイス・フロイスは強調して、すべて〔5〕と表現したのでしょう。

これは、日本社会の特色です。漢字2文字で、「明瞭」の反対です。

これも現在に通じる日本人の特色です。〔8〕はちょっと難しいです。極端に触れない真ん中という意味の2文字熟語です。


 現代社会は通常1年生で学習します。したがって、ここに上げた、1〜7の質問のうち、1・2・3・4・5については、上のヒントで示したように、それぞれの学習の先触れとなるものです。
 現代社会のこの学習自体、5月に実施される予定の部分です。
 つまり、高校3年間の一番最初に学習する部分ですから、今後の地歴公民科の学習について、「いろいろ面白いことがあるぞ」というのを、中学校での学習と結びつけて、「目から鱗」しておくねらいもあります。

 また、6〔怒り〕・7〔中庸〕jは、ちょっと難しいですが、これこそ、日本人の生活態度、社会のあり方を特色付ける項目となります。
 定番の言い方で恐縮ですが、
東アジア的村落共同体が生んだ、濃密な人間関係と社会規範の中で、現代日本社会につながるいろいろな特色が形成され、それが今などのように表現されているかを考えさせるきっかけにしたい項目です。

このクイズの質問部分の文章は、ルイス・フロイス著・岡田章雄訳注『ヨーロッパ文化と日本文化』(岩波文庫2005年第23刷)から引用しました。

ルイス・フロイスについて捕捉です。
 1532年に生まれた彼は、16歳で、カトリック教の布教団体であるイエズス会(フランシスコ・ザビエルも所属)に所属しました。
 アジアへの布教の拠点であったインドのゴアにおもむき、そこで日本へ向かう直前のザビエルに会います。
 しばらくゴアで過ごしたのち、1563年、ザビエルより14年遅れて日本へ上陸します。信長の桶狭間の戦いの3年後です。
 1569年、京都で信長と対面し、布教活動を許されます。以後、岐阜城・安土城訪問など、信長と浅からぬ縁となります。
 秀吉の時代になって、1587年にはバテレン追放令が出されますが、その後も、長崎などで著述活動を行い、一度マカオに戻ったのちまた来日し、1592年長崎で死んでいます。
 『日本史』『イエズス会日本通信』『ヨーロッパ文化と日本文化(日欧文化比較論)』を残しました。


 他にも使える質問があります             | このページの先頭へ |

 外国人から見た、日本人や日本社会への素朴な疑問は、他にも、いろいろな本に書かれています。
 メリディアン・リソーシス・アソシエイツ編賀川洋著『誤解される日本人』(講談社 1997年)もその一つです。
 同書からいくつか紹介しましょう。
 下のヒントを読んで、答えが決まったら、
黒板をクリックしてください。正解が現れます。(黒板一枚分、一度に全部現れます。)

 【ヒント】 

特に自信がない時は・・・。

授業をしていても、わかっていないのにうなずいている生徒もいます。

自分の意見をとことん言うことはあまりしないかもしれません。

フロイスと同じ疑問です、曖昧です。

自分の〔4〕を褒めるのは照れくさくて・・・・。

上下関係などが成立している場は、日本人が最も気にすることです。それが変われば・・・。

仲人とかいろいろありますね。

ころころ変わっては、腰が落ち着かないやつと批判されます。

 『誤解される日本人』は、外国人に誤解されそうな日本人の行動を、外国人にわかるように日本語と英語で解説したものです。
 来日したばかりのALT(外国語教師アシスタント)に読んでもらうとトラブルが減るかもしれません。
 さて、上記の質問は、あくまで、もっと深く日本人や日本人社会を自ら考えるための導入です。もう少し、本題に入ったものを、次の、「外国人から見た日本人、日本人社会2」でやりましょう。

 一度問題へ戻ってください。