2008年までは、2001年の2020万円を除いては、ほぼ数百万円の競り値で経過してきました。
しかし、2009年の963万円のあと、2010年には再び、1628万円と一千万円台になり、さらに2011年の3249万円、2012年の5649万円と一気に初競り値は上昇し、今年は、さらに1億5540万円と、昨年の高値の3倍近く、一気に1億円を上乗せした価格となりました。
このような高値となったのは、二つのグループが昨年に続いて、競り値を争ったことによります。
そのひとつは、香港を中心とし日本にも5店進出している「板前寿司」です。このお店は、2008年の日本進出をきっかけに初競りに参加し、2009年からは、東京の高級寿司店「銀座久兵衛」と共同購入の形で競りをリードし、2011年まで4年連続で最高値で競り落としました。見方を変えれば、4年連続で最高値のマグロの一部は香港に持って行かれたわけです。
それに対抗しようとしたのが、昨年・今年と2年連続で最高値で競り落とした東京のスシチェーン店「すしざんまい」を経営する企業、喜代村でした。
昨年は、各地から集荷された560本のマグロの中で一番重い青森県大間産の重量269kgのマグロを巡って、両者が争い、5649万円の価格で落札となりました。
今年は、654本のマグロが競りに出されましたが、大間のマグロは不漁で、築地に届けられたのは、わずかに4本のみでした。市場に並べられたマグロの中で、唯一200kgを超えていた大間産の重量222kgのマグロの競りになると、競り合いは白熱しました。
普通の競りは数秒で終わりますが、この競りは決着まで2分かかりました。そして、最終の競り値は、1億5540万円(重量222kgですから、1キロあたり70万円)となりました。
いくら大間産と言っても、ほかの3本は1kgあたり28,000円から43,000円で競り落とされていますから、この1本だけが異常な高値となったことがわかります。
昨年もそうでしたが、競り落としたスシチェーン店「すしざんまい」では、このマグロを通常価格で店頭で提供しました。つまり、大トロ398円です。1億5540万円の元を取るためなら、大トロ一貫を5万円から8万円で提供しなければならないはずですが、そんな価格の寿司は誰も食べません。競り値のうちの1億数千万円は、「宣伝費」と考えての、通常価格販売となりました。
確かに、このことがなければ、岐阜県民の私が「すしざんまい」を取り上げることもありません。換算したら1億円ぐらいには相当する宣伝費かもしれません。
それにしても大盤振る舞いです。見事なものです。 |