現代日本経済の諸相8
<解説編>
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 513 2013年東京築地市場の初競り価格新記録更新、マグロを釣った漁師の手に渡る金額は?問題編へ 

 このページは、各新聞をもとに記述しました。その一覧は、ページの一番下にあります。   
 次の目次にしたがって、説明します。
 

 まずはこれまでの競りの状況と今年の競りの結果です

 正解です

 

 ※昨年の初競りの状況は、→クイズ512をご覧ください。
 ※
東京中央卸売市場(築地市場)の見学記は前の項目にあります。→こちらです。 

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 1 まずはこれまでの競りの状況と今年の競りの結果です |このページの先頭へ戻る|

 下のグラフをご覧ください。
 これまでの築地市場における
生鮮本マグロ初競りの最高値の変遷です。 



 2008年までは、2001年の2020万円を除いては、ほぼ数百万円の競り値で経過してきました。
 しかし、2009年の963万円のあと、2010年には再び、1628万円と一千万円台になり、さらに2011年の3249万円、2012年の5649万円と一気に初競り値は上昇し、今年は、さらに
1億5540万円と、昨年の高値の3倍近く、一気に1億円を上乗せした価格となりました。
 
 このような高値となったのは、二つのグループが昨年に続いて、競り値を争ったことによります。
 そのひとつは、香港を中心とし日本にも5店進出している「
板前寿司」です。このお店は、2008年の日本進出をきっかけに初競りに参加し、2009年からは、東京の高級寿司店「銀座久兵衛」と共同購入の形で競りをリードし、2011年まで4年連続で最高値で競り落としました。見方を変えれば、4年連続で最高値のマグロの一部は香港に持って行かれたわけです。

 それに対抗しようとしたのが、昨年・今年と2年連続で最高値で競り落とした東京のスシチェーン店「すしざんまい」を経営する企業、喜代村でした。
 昨年は、各地から集荷された560本のマグロの中で一番重い青森県大間産重量269kgのマグロを巡って、両者が争い、5649万円の価格で落札となりました。

 今年は、654本のマグロが競りに出されましたが、大間のマグロは不漁で、築地に届けられたのは、わずかに4本のみでした。市場に並べられたマグロの中で、
唯一200kgを超えていた大間産の重量222kgのマグロの競りになると、競り合いは白熱しました。
 普通の競りは数秒で終わりますが、この競りは決着まで2分かかりました。そして、最終の競り値は、
1億5540万円(重量222kgですから、1キロあたり70万円)となりました。
 いくら大間産と言っても、ほかの3本は1kgあたり28,000円から43,000円で競り落とされていますから、この1本だけが異常な高値となったことがわかります。

 昨年もそうでしたが、競り落としたスシチェーン店「すしざんまい」では、このマグロを通常価格で店頭で提供しました。つまり、
大トロ398円です。1億5540万円の元を取るためなら、大トロ一貫を5万円から8万円で提供しなければならないはずですが、そんな価格の寿司は誰も食べません。競り値のうちの1億数千万円は、「宣伝費」と考えての、通常価格販売となりました。
 確かに、このことがなければ、岐阜県民の私が「すしざんまい」を取り上げることもありません。換算したら1億円ぐらいには相当する宣伝費かもしれません。
 それにしても大盤振る舞いです。見事なものです。 

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 2 正解です     |このページの先頭へ戻る|

 それではこのマグロをつり上げた漁師さんには、1億5540万円のうちのどのぐらいのお金が回るのでしょうか?
 流通費用とかがありますから、結構中間マージンをとられるのかと思いましたら、結構、漁師さんの元にお金がきます。
 『朝日新聞』によれば、以下の通りです。
 落札価格に消費税を上乗せした金額、
1億6317万円が正式な価格となります。(ほかの商品と同じ内税方式)
 そこから競りを担当した荷受け会社と出荷した地元漁業協同組合への手数料が合計5.5%(合計897万円)差し引かれ、さらに消費税分777万円差し引いて、残り、
1億4643万円ほどが漁師さんの手にはいるとのことです。

 『朝日新聞』によると、つり上げたのは、青森県大間町の竹内大輔さん36歳とのことです。すごいですね。ご祝儀とかいろいろ大変でしょうね。ご苦労様です。

 上の地図は、Google から正式にAPIキーを取得して挿入した、津軽海峡の地図です。 下が青森県、上が北海道です。
青森県大間漁港は本州最北端の岬、大間崎のすぐ西側にあります。青森県下北郡大間町です。
 大間から一度だけ競り値最高を奪い取った、
北海道戸井漁港は、津軽海峡を挟んで大間崎とは反対側の岬、汐首岬の5kmほど東にある漁港です。以前は戸井町でしたが、平成の大合併によって周辺3町村とともに函館市に編入されました。

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 【大間産マグロの初競り値、新記録 参考文献一覧】
  このページの記述には、主に次の書物・論文を参考にしました。

『朝日新聞』2013年1月5日付け朝刊、1月10日付朝刊

 

インターネット版『日本経済新聞』2013年1月5日、6日、7日、8日

寿司チェーン店「すしざんまい」のHP http://www.kiyomura.co.jp/


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