現物教材 政治1

政治001 海上自衛隊護衛艦隊セット   05/08/13追記            |現物教材:目次:現代社会へ
 海上自衛隊の護衛艦隊セットです。

 これが、授業で日の目を見るのは、まあ現実にはあまりないと思っていました。
 しかし、2001年の海上自衛隊の護衛艦のインド洋派遣、とりわけ、2002年12月のイージス艦「きりしま」の派遣によって、授業のネタに登場することになりました。

 ここで少し、護衛艦と護衛艦隊について解説します。
 海上自衛隊は、現在、4個の護衛艦隊を持っています。司令部は横須賀にあり、艦隊は、

  • 第1護衛隊群(横須賀)

  • 第2護衛隊群(佐世保)

  • 第3護衛隊群(舞鶴)

  • 第4護衛隊群(呉)

と4港に配備されています。ちなみに、4港は、いずれも旧帝国海軍時代からの軍港です。
 この4個護衛隊群による編成は、海上自衛隊の創設以来、次第に艦隊の充実が進んだ、1971(昭和46)年から発足しました。

 一つ一つの護衛隊群は、それぞれ8隻の護衛艦からなっています。
 8隻の護衛艦は次の三つのタイプに分けることができます。

  • DDH1隻 艦隊の中枢となる大型艦、対潜水艦探知能力に優れ潜水艦哨戒用のヘリコプターを3機搭載 

  • DDG2隻 防空中枢艦 対空ミサイル誘導装置搭載  このうちの1隻はイージス艦 

  • DD 5隻 汎用護衛艦 潜水艦哨戒用ヘリコプターを各艦1機搭載

 右上の1〜3の模型は、この3タイプの護衛艦の例です。(4はアメリカ海軍の巡洋艦)

番号

艦名

種別

基準排水量t

全長m

全幅m

備考

所属

しらね

DDH

5,200

159

17.5

ヘリコプター3機

第1護衛隊群所属

あさかぜ

DDG

3,850

143

14,3

対空ミサイル 

第4護衛隊群所属

はつゆき

DD

2,950

130

13.6

ヘリコプター1機

現在は横須賀地方隊所属

タイコンデロガ

 

9,600

172

16.8

イージス艦巡洋艦     

きりしま

DDG

7,250

161

21.0

イージス艦  

第1護衛隊群所属

 
 

ひとつの護衛隊群は、護衛艦8隻で、ヘリコプターを8機所有することから、この編成を「8・8艦隊」などと呼ぶ場合もあります。ちなみに、「8・8艦隊」とは、帝国海軍が建造を計画した、戦艦8隻・巡洋戦艦8隻からなる艦隊です。(こちらで説明しています。
 
 つまり、護衛艦隊は、おもに潜水艦からシーレーンを守るために編成されていて、そのうちの2隻のDDGは、艦隊の対空防衛用の護衛艦ということになります。

 DDGは、当初は、2隻×4個隊=8隻とも、「あせかぜ」や同タイプ、またはその発展型が建造され、通常の対空ミサイル護衛艦でした。
 このタイプの護衛艦は、レーダーで目標(敵飛行機・ミサイル)を補足して、ミサイルなどで迎撃することによって、艦隊の防空を担うのですが、同時に誘導できる自分のミサイルは、最大限2個までです。 

2 DDGあさかぜ 4 アメリカイージス巡洋艦タイコンデロガ 3 DDはつゆき 


 それ以上の敵ミサイルが同時に飛んでくれば、防衛は難しくなります。

 それに対して、いわゆる、イージス艦は、アメリカで開発された艦隊防空システムである、フェーズド・アレイレーダーと高性能情報処理システムを持っています。
 これによって、半径500qという広域な探知範囲と、同時に10個以上のミサイル誘導機能を持つ、画期的な防空護衛艦なのです。

 人間にたとえているなら、悪ガキ10人に囲まれて、同時に石つぶてを投げられて10個が飛んできても、手が4・5本あって、「カン、カン、カン」とみんな空中ではじいてしまうといった感じです。
 このタイプの最初の艦が、アメリカで作られたイージス巡洋艦タイコンデロガ(模型の4)です。イージスとは、ギリシア神話で言う盾のことです。

 今現在インド洋に向けて航海中のイージス艦DDGきりしまは、1993年に日本

我が家のイージス艦は、まだ建造前。1599円

が最初の導入したイージス艦「こんごう」型の2番艦で、1995年に就航しました。残念ながら、わたしのコレクションには海上自衛隊のイージス艦は、まだ登場していません。

 海上自衛隊が発表しているように、DDGきりしまは、他の護衛艦に比べて断然大きく、確かに乗組員の居住性も高いでしょう。

 しかし、イージス艦派遣反対派の言うように、このフェーズド・アレイレーダーは、アメリカ艦隊と情報がリンクできるものです。
 例えばイラクの攻撃などの場合、直接日本の護衛艦が狙われなくても、アメリカ艦隊の防衛にイージス艦DDGきりしまのレーダーによる情報がアメリカ艦隊と供用されることは、想像に難くありません。
 
 ちなみに、イージス艦は建造が大変高価なもので、アメリカと日本以外は、他の国は所有していません。(スペインで1隻建造中)
  ※護衛艦のデータや部隊編成は、『海上自衛隊パーフェクトガイド2002』(学習研究社2002年)によりました。


【追記】 05/08/13
 海上自衛隊と横須賀については、「旅行記・海外情報」の
「横須賀軍港めぐり見聞記」

に詳述しました。 こちらです。

【追記】 05/08/25
 2005年8月24日に、
海上自衛隊5隻目のイージス艦の進水式が、長崎市の三菱重工長崎造船所で行われ、「あたご」と命名されました。
 これまでの4隻が(こんごう級)が7250トンであったのに対して、あたご及び続いて建造される新型は、7700トンを少し大きめになっています。

 これは、これまでのイージス艦にはなかった、ヘリコプター格納庫を設けるなど大型化したためです。
 建造費は、1475億円です。通常の護衛艦DDの倍以上の金額です。
 これから、電子機器の搭載など艤装に入り、2007年3月頃に完成する予定です。