海上自衛隊の護衛艦隊セットです。
これが、授業で日の目を見るのは、まあ現実にはあまりないと思っていました。
しかし、2001年の海上自衛隊の護衛艦のインド洋派遣、とりわけ、2002年12月のイージス艦「きりしま」の派遣によって、授業のネタに登場することになりました。
ここで少し、護衛艦と護衛艦隊について解説します。
海上自衛隊は、現在、4個の護衛艦隊を持っています。司令部は横須賀にあり、艦隊は、
第1護衛隊群(横須賀)
第2護衛隊群(佐世保)
第3護衛隊群(舞鶴)
第4護衛隊群(呉)
と4港に配備されています。ちなみに、4港は、いずれも旧帝国海軍時代からの軍港です。
この4個護衛隊群による編成は、海上自衛隊の創設以来、次第に艦隊の充実が進んだ、1971(昭和46)年から発足しました。
一つ一つの護衛隊群は、それぞれ8隻の護衛艦からなっています。
8隻の護衛艦は次の三つのタイプに分けることができます。
DDH1隻 艦隊の中枢となる大型艦、対潜水艦探知能力に優れ潜水艦哨戒用のヘリコプターを3機搭載
DDG2隻 防空中枢艦 対空ミサイル誘導装置搭載 このうちの1隻はイージス艦
DD 5隻 汎用護衛艦 潜水艦哨戒用ヘリコプターを各艦1機搭載
右上の1〜3の模型は、この3タイプの護衛艦の例です。(4はアメリカ海軍の巡洋艦)
番号 |
艦名 |
種別 |
基準排水量t |
全長m |
全幅m |
備考 |
所属 |
1 |
しらね |
DDH |
5,200 |
159 |
17.5 |
ヘリコプター3機 |
第1護衛隊群所属 |
2 |
あさかぜ |
DDG |
3,850 |
143 |
14,3 |
対空ミサイル |
第4護衛隊群所属 |
3 |
はつゆき |
DD |
2,950 |
130 |
13.6 |
ヘリコプター1機 |
現在は横須賀地方隊所属 |
4 |
タイコンデロガ |
|
9,600 |
172 |
16.8 |
イージス艦巡洋艦 |
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5 |
きりしま |
DDG |
7,250 |
161 |
21.0 |
イージス艦 |
第1護衛隊群所属 |
ひとつの護衛隊群は、護衛艦8隻で、ヘリコプターを8機所有することから、この編成を「新8・8艦隊」などと呼ぶ場合もあります。ちなみに、「8・8艦隊」とは、帝国海軍が建造を計画した、戦艦8隻・巡洋戦艦8隻からなる艦隊です。(こちらで説明しています。)
つまり、護衛艦隊は、おもに潜水艦からシーレーンを守るために編成されていて、そのうちの2隻のDDGは、艦隊の対空防衛用の護衛艦ということになります。
DDGは、当初は、2隻×4個隊=8隻とも、「あせかぜ」や同タイプ、またはその発展型が建造され、通常の対空ミサイル護衛艦でした。
このタイプの護衛艦は、レーダーで目標(敵飛行機・ミサイル)を補足して、ミサイルなどで迎撃することによって、艦隊の防空を担うのですが、同時に誘導できる自分のミサイルは、最大限2個までです。
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2 DDGあさかぜ 4 アメリカイージス巡洋艦タイコンデロガ 3 DDはつゆき |
それ以上の敵ミサイルが同時に飛んでくれば、防衛は難しくなります。
それに対して、いわゆる、イージス艦は、アメリカで開発された艦隊防空システムである、フェーズド・アレイレーダーと高性能情報処理システムを持っています。
これによって、半径500qという広域な探知範囲と、同時に10個以上のミサイル誘導機能を持つ、画期的な防空護衛艦なのです。
人間にたとえているなら、悪ガキ10人に囲まれて、同時に石つぶてを投げられて10個が飛んできても、手が4・5本あって、「カン、カン、カン」とみんな空中ではじいてしまうといった感じです。
このタイプの最初の艦が、アメリカで作られたイージス巡洋艦タイコンデロガ(模型の4)です。イージスとは、ギリシア神話で言う盾のことです。
今現在インド洋に向けて航海中のイージス艦DDGきりしまは、1993年に日本
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我が家のイージス艦は、まだ建造前。1599円 |
が最初の導入したイージス艦「こんごう」型の2番艦で、1995年に就航しました。残念ながら、わたしのコレクションには海上自衛隊のイージス艦は、まだ登場していません。
海上自衛隊が発表しているように、DDGきりしまは、他の護衛艦に比べて断然大きく、確かに乗組員の居住性も高いでしょう。
しかし、イージス艦派遣反対派の言うように、このフェーズド・アレイレーダーは、アメリカ艦隊と情報がリンクできるものです。
例えばイラクの攻撃などの場合、直接日本の護衛艦が狙われなくても、アメリカ艦隊の防衛にイージス艦DDGきりしまのレーダーによる情報がアメリカ艦隊と供用されることは、想像に難くありません。
ちなみに、イージス艦は建造が大変高価なもので、アメリカと日本以外は、他の国は所有していません。(スペインで1隻建造中)
※護衛艦のデータや部隊編成は、『海上自衛隊パーフェクトガイド2002』(学習研究社2002年)によりました。
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【追記】 05/08/13
海上自衛隊と横須賀については、「旅行記・海外情報」の「横須賀軍港めぐり見聞記」 に詳述しました。 こちらです。 |
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【追記】 05/08/25
2005年8月24日に、海上自衛隊5隻目のイージス艦の進水式が、長崎市の三菱重工長崎造船所で行われ、「あたご」と命名されました。
これまでの4隻が(こんごう級)が7250トンであったのに対して、あたご及び続いて建造される新型は、7700トンを少し大きめになっています。
これは、これまでのイージス艦にはなかった、ヘリコプター格納庫を設けるなど大型化したためです。
建造費は、1475億円です。通常の護衛艦DDの倍以上の金額です。
これから、電子機器の搭載など艤装に入り、2007年3月頃に完成する予定です。
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