「でかい岩塩」「でかい石炭」に続くでかいシリーズの第3弾、「でかい黒砂糖」です。
何に使うかは、日本史クイズ江戸時代編「19世紀の薩摩藩の借財」をご覧ください。
ところで、この縦横12センチ×15センチ、厚みも5センチもあろうかという大きな黒砂糖ですが、10年ほど前にどこかで購入したのですが、どこで購入したのか、どうしても思い出せません。
思い出せないと言うことは、どこか近くの普通の場所だったと思うのですが、近隣の大きなスーパーや食材店には、売っていませんでした。
このコーナーでは、入手方法を紹介するのが大事な仕事と思ってきましたが、ここでは、思い出すまで紹介は御免ください。
また例によって、砂糖とサトウキビの説明をします。
1 砂糖の原料と世界の歴史
ご存じのように、現在では、砂糖はサトウキビ(甘藷)か、テンサイ(さとうだいこん、ビートともいう)から作られます。
サトウキビは、南太平洋の島々が原産地と考えられています。そこから東南アジアを経てインドに伝わったようで、今から2300年前の、ギリシアのアレクサンドロス大王のインド遠征時の記録に、サトウキビに関する記述が出てきます。
そののちアラビア人によって、西はペルシア・エジプト、東は中国に伝えられました。
ヨーロッパへは、11世紀から13世紀にかけて、オリエントへ出かけた十字軍が持ち帰りました。温暖な地中海地方で栽培が始まります。しかし、当初は、ヨーロッパでも大変な貴重品でした。
しかし、アメリカ大陸が発見され、ヨーロッパ人によってアメリカへサトウキビがもたらされると、砂糖の生産は急速に伸びました。おりしも、ヨーロッパでは、中国産の紅茶が広がりつつあり、紅茶と砂糖はヨーロッパ人の食生活に急速に普及していきました。
現在ではサトウキビはハワイやキューバなど、全世界で8000万トン以上が生産されています。
テンサイは、18世紀にドイツで、資料用のビートが改良されて作られました。
日本では明治維新後に北海道で栽培が始まりました。こちらは、比較的涼しい地域で栽培され、現在では、ウクライナ、フランス、ドイツ、ロシア、アメリカなどで、4000万トン以上が生産されています。
2 サトウキビと日本
サトウキビは、日本へは、唐僧鑑真によって伝えられたと言われています。しかし、しばらくは、栽培はされませんでした。
室町時代になると日明貿易が盛んとなり、明から砂糖が輸入され、日常生活で珍重されます。狂言の「ぶす」の太郎冠者と次郎冠者の話は、有名ですね。
ちなみに、第8代将軍足利義政は、砂糖をふんだんに使った羊羹が大好物だったといわれています。
南蛮貿易では、砂糖菓子が輸入され、もてはやされました。ポルトガル語の、「confeito」 が「金平糖」という日本語になったのも、そういう事情です。
このあと、琉球では、1623年からサトウキビの栽培が始まります。
※詳しくは、沖縄県黒砂糖協同組合・沖縄県黒砂糖工業会のサイトへ
やがては、薩摩藩領の奄美大島・喜界島(きかいがしま)・徳之島でも栽培が始まります。
第8代将軍徳川吉宗は、全国に甘藷の栽培を奨励しました。しかし、すぐには、栽培法は確立されず、18世紀末から19世紀初頭においては、琉球と薩摩藩領が日本の砂糖生産の中心でした。
これが、19世紀前半の薩摩藩の財政改革を可能とします。
3 黒砂糖と白砂糖
現在では、砂糖といったら普通は、白い砂糖のことです。しかし、江戸時代は、砂糖といったら、黒砂糖でした。
砂糖の種類は、製法により基本的に次の二つに分けることができます。
|
区分 |
違い |
砂糖の細かい種類 |
砂 糖 |
含密糖 |
サトウキビの全成分をそのまま煮詰めたもの |
黒砂糖
和三盆(和菓子などの原料) |
分密糖 |
サトウキビのしぼり汁から糖蜜を遠心分離したもの
今日、普通に使われる砂糖 |
上白糖
グラニュー糖
三温糖 など |
|
4 黒砂糖の成分
黒砂糖は、サトウキビの糖蜜分を分離していない砂糖であるため、ミネラル・ビタミンなどが多く含まれています。
沖縄県は長寿県として知られていますが、沖縄県黒砂糖協同組合・沖縄県黒砂糖工業会によれば、その原因の一つは、黒砂糖にあるということです。
成分名 |
単位 |
黒砂糖 |
和三盆 |
上白糖 |
可
食
部
100
グ
ラ
ム
あ
た
り
|
エネルギー |
kcal |
354 |
383 |
384 |
タンパク質 |
g |
1.7 |
0.2 |
0 |
炭水化物 |
g |
89.7 |
98.8 |
99.2 |
ナトリウム |
mg |
27 |
1 |
1 |
カリウム |
mg |
1100 |
140 |
2 |
カルシウム |
mg |
240 |
27 |
1 |
ビタミンB1 |
mg |
0.05 |
0.01 |
0 |
ビタミンB2 |
mg |
0.07 |
0.03 |
0 |
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以下は、市販品です。
種子島産の黒砂糖
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種子島産黒砂糖の中味。(唐揚げではない (+_+) )
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喜界島産の黒砂糖 |
黒砂糖を粉末状にしたもの
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北海道十勝さんのテンサイトウ
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最後に、実物のサトウキビの通信販売で購入できるサイトを紹介します。
鹿児島県の奄美大島にある「株式会社さと」の「ガジュマルの郷 特産品販売事業部」です。
但し、1月〜3月の収穫時期しか購入できません。
※鹿児島県大島郡笠利町里50−2 電話 0997−63−1622(フリーダイヤル 0120−53−0501
もうひとつ、おまけですが、横浜には、「横浜さとうのふるさと館」という砂糖工場の中に作られた見学施設があります。インターネットの紹介によると、小山のような砂糖、サトウキビ畑など、いろいろ経験できるそうです。
※横浜さとうのふるさと館 横浜市鶴見区大黒町13−46塩水港精糖(株) 電話0120−310−260
こちらのサイトです。
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