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45 熟年時代・老年時代その4 パーキンソン病(PD)23/12/10
 B 私のパーキンソン病3 D.B.S手術を受ける

 結論を先に述べてしまえば,「なんだこりゃ45」の@番最後に書いたように,2023年12月14日(木)に,名古屋医療センターで,パーキンソン病(以下PD)への対応として,DBS(Deep Brain Stimulation )処置手術を受けることにした。DBSとは何かといえば,PDの原因であるドーパミンの分泌不足を解消するため,脳の深い場所に電極を入れ,そこから発する電気刺激によってドーパミンの分泌を促そうと言うものである。
 以下はその手術の処置術に本人の感想も含めた記録である。これまでの「腸閉塞入院記」・「鼠径ヘルニア手術・入院記」のように皆さんにとって読み応えのある記録になればいいと思っている。なお,例によって感想は患者(素人)が書いているものであり,医学的正確さは不十分である。その点はお許し願いたい。
 なお,正確な説明としては次のウェブサイトが分かりやすく参考になる。

金沢脳神経外科病院 https://www.nouge.net/approach/dbs-deep-brain-stimulation/
岡山大学病院(医学部)https//dbs-chiryo.jp

(1)PDの治療と問題点
 PDの薬事的治療としては次の二つが行われている。
  1. レボドバ(L・ドパ)・・血管を通ってドパミンとして直接不足分を補う薬。
  2. 脳内でドパミンを受け取るドパミン受容体に変わりドパミンを吸収しやすくする。
 前者がより一般的に使われる治療薬である。私もその一つで商品名メネシットを服用している。
 ところがL・ドパには大きな欠点がある。薬が効いている時間(ウエアリング・オン)が短く,薬がきれると急に動きが止まってしまうことになる。(ウエアリング・オフ)それをイメージ化したものが次の説明図01である。

 残念なことにL・ド−バは次第に効き目がある時間が短くなり,患者は1日に服用する回数を増やさねばならず,そのことは悲しいことにウエアリング・オフの時間を増やすことになるのです。
 そのオン・オフを私の日常生活にあてはめてみたのが説明図02である。
 

(2)DBS手術とは何か
 Deep Brain Stimulation処置手術とはどのようなものか。以下簡単にその手順を説明する。

  1. 定位脳手術装置(フレーム)の取り付け。電極を埋め込む位置を明確にするための装置の取り付け。(局所麻酔?痛みを伴うか?)
  2. CT,MRIなどのデータによりターゲットの位置を確認。
  3. 全身麻酔をかけ頭骨に直径12mm程の穴を左右に空け,麻酔を1時覚ましてテスト刺激を行う。その後,視床下核に電極(リード)を埋め込む。
  4. 延長リードを耳の後ろ鎖骨を通して前胸部まで通す。
  5. リードに電気信号を送るパルス発生器を左右の胸に埋め込む。
  6. 麻酔覚醒後,一人一人に応じた患者用プログラマーの確認。

 手術そのものは,4時間程度との話である。


 このDBF手術そのものは,すでに開発されて20年以上が経ち,最新の技術ではない。また実施できる病院の数も全国でおよそ100ほどあるというから,特定の脳神経外科医しかできないという技術ではなかろう。
 しかし不安もある。
 リードを埋め込む位置は右図にある
視床下核。脳の奥の奥である。素人は考える。こんなところまでメスが届くものか。(メスではないかもしれない)
 主治医はM医師であるが,彼は10月まで名古屋大学医学部附属病院の医師だった。11月から名古屋医療センターに転勤し,それに伴って患者の私も転院して来た形である。新しい環境が正と出るか負と出るか。


(3)DBS手術で何が期待できるか
 手術がうまくいきリードを通して望む所にパルスが伝えられ期待通りのドーパミンが供給されたとして,わたしのPDのどの症状が改善されるかを推定してみる。
 ここで一番大事なのはDBS手術がうまくいったからといって,「PDがなおる」わけではないことである。手術の効果はあくまで最前時の症状を維持できるかどうか,言い換えれば,進行性のPDをいい状態でしばらく食い止られるかなのである。


 【現在の私の困った症状と改善の見通し】
 DBS手術による改善の見通しを推定した。PD患者にはそれぞれ固有の悩み・症状があり,それが全て改善されるとは思えない。それでも私の場合なら,次のようなことができたり,悩まなければ良くなったりしたら幸いである。
   ○・・大幅に改善できる   △やや改善できる   ×改善できない

  1. 安静時振戦(ふるえる)
  2. 動作緩慢・無動 (動きがにぶく小さくなる,または動けない)
  3. 筋肉がこわばりかたくなる(筋強剛・固縮)
  4. 姿勢を保てず転びやすい(姿勢反射障害)
  5. ○すくみ歩行
  6. ○日内変動(1日のうちでon・offの変化が激しい
  7. ×喋りにくい
  8. ×嗅覚障害(ほとんど臭いが感じられない)
  9. △下半身の痛み・しびれ
  10. △便秘
  11. △排尿障害
  12. △腹部膨満感
  13. △胃食道逆流症
  14. △肩や背中のこわばり
  15. △視覚障害(ものが二重に見える・焦点を合わせるのが遅い・しづらい)
    少しでも多くの症状が改善できれば幸福である。

 かつて受けた腰部椎間板ヘルニアの除去手術の時は,12時間近い手術時間で,目覚めたときの第一声が,本音で「腹減った」と言ってしまい,付き添っていた妻を呆れ返らせてしまった。今度はそういうことがないように心掛けたい。
 
 妻・家族はもちろん,ご支援・ご声援を頂き,またご心配をおかけした皆様に心から感謝します。
 次は退院したあと,12月25日(月)以降に, 場所を変えて,日記157にアップロードします。よろしく。


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