そのうち私が面白いと思った発表をいくつか取り上げます。
発 表 者 |
研究テーマ |
大学院生K氏 |
生徒が主体的に「数学T」の内容を身に付ける数学的活動の在り方 −類推的・帰納的な思考活動を中心として− |
大学院生G氏 |
生徒が主体的に歴史的思考力を培うための平素の授業の在り方 −高校世界史を中心に− |
大垣桜高校A教諭 |
授業研究を核とした協働的組織風土の醸成 |
岐阜北高校N教諭 |
学校組織Gelモデルを用いた高等学校の組織改善 −校内研修の改善を通して− |
このうち、大垣桜高校のA教諭の発表は、異なる教科間の連携授業、名付けて「ジョイント授業」の実践によって協同的組織風土の醸成を図るものでした。
私は、この活動は、高校全体として、生徒の学力をアップするにはとても重要な視点だと思います。
小学校の担任なら自分の力で全ての教科を教えるわけですから、勉強は大変ですが、各教科の相互の連携は十分に取ることができます。算数の時間に、「ほらこの前、理科の時間に勉強したことと同じ発想」とか言えるわけです。
高校では、それぞれの教科の専門性が生かされているという点では、小学校の担任が全教科教えるよりは格段の強みを発揮します。
しかし、その反面、各教科がバラバラに事を進めていくと、生徒側から見ると、その関連性や知識のつながり・応用や発想の類推性に気が付かず、まったく狭く浅い学習になってしまう危険性があります。
それを克服するのはが、「ジョイント授業」です。
もっとも、発表者の実践校は、専門学科5クラスの中規模校であり、同じことを9クラス・10クラスの大規模校で同じように実施するのは、大変無理があります。
したがって、教科間の連携の強弱、回数の多少など、大きな負担にならないように注意しつつ、生徒には、「高校レベルの高い教養というのは、いろいろな知識と発想の連携によって獲得できるものなのだ」という意識をしっかりと埋め込みたいものです。
岐阜北高校のN教諭の発表は、自由討論形式のグループ協議による問題意識の確認や、グループによる頻度の高い相互授業参観と意見交換など、校内の研修の改善を通して、組織の活性化を図った実践です。
高校では、ややもすれば、研究授業や他者による授業評価が、まったく形式的に終わってしまう危険性もあります。この実践は、それを活性化させようとしたもので、これもまた重要な課題です。 |