2005-01
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081 2005年01月02日(日) 一応、年頭所感です。「月はどっちかな」           メニューへ 

 2005年も、我が家では無事始まりました。
 一家の大黒柱である私が名鉄揖斐線電車を追いかけ回していられるくらい、平穏な我が家です。(^_^)

 一応、年の初めですから、年頭所感らしきものを書くのが慣例となっているのが、この日記コーナーです。
 一言もの申したい題材は山ほどあります。
 視野を広くもてば、ブッシュ・アメリカ大統領の再選、イラクへの自衛隊派遣、先に発表された日本の児童生徒の学力低下、教育改革の行き末・・・などなど。
 どれもこれも、他のコーナーでこれから、書いていきます。

 しかし、ここでは、そんな大風呂敷を広げるのではなく、もっと、ぐっと身近な「真実」について、書こうと思います。それが、「月はどっちかな」です。

 同じような題名の、在日韓国人問題を扱った映画がありましたが、わたしのは、何かの比喩ではなく、ズバリそのもの「月はどこにあるのか」という問題です。

 「月の場所がどうして年頭所感なのか?」
 まあまあ、そういわずに。ちょっと、説明しますから。

 発端は今夢中になっている揖斐線の電車の撮影です。
 写真を撮る以上、誰しも考えることですが、私もにわか「芸術写真家」を夢見ていろいろ構想を練りました。以下がその芸術的写真のテーマの例です。
 「夕日に映える電車」「雪の中を驀進する電車」「秋の街路樹と電車」「夜の電車 光るレール」「虹と電車」・・・などなど。(これらはすべて撮影に成功しました。)

 そのひとつに、「
満月と電車」というのを考えました。ほら、よくマンガなんかにある、大きな真っ赤な満月を背景に主役が映っているという、あれです。

 10月から満月をねらう計画をスタートさせました。
 そして、あることに気が付きました。
私は、この年齢になるまで、「月の出の方位」について、つまり、月がどの位置から出るのか、まったく知りませんでした。ただ漠然と、「東の方から出る」と理解していたに過ぎなかったのです。
 ところが、これは大きな間違いでした。
 実は私は、これまで49年数花月の間、何度も見てきたはずの満月について、どこから出るのかという基本的な事実をまったく知らなかったのです。

 写真を撮ると言うことは、現実を見つめると言うことです。
 以下の話は、このこと、つまり月の出という現実に関する話です。
 次のレベルに応じて、読んでください。

 月の満ち欠けと月の出の時間についてまったく知らない人。

「上弦の月は真昼に出て真夜中に沈む」とか、「満月は日没後に出て日の出時に沈む」とかいうことを、理科の教科書で自学自習してから以下を読んでください。(^_^)

 1のことは知っていても、月の出の位置・満月の南中高度について知らない人。

以下のことを読むのに最適な人です。

 月の出の位置も南中高度もすべてご存じの人。

残念ですが、ここまでです。すみません。(-_-;)


 10月は、満月の日に出張で東京にいたため、

満月前、月齢13.1の月。出てから2時間。場所尻毛橋梁。(撮影日 04/12/25)

断念しました。11月28日の満月は、天候不良のため、日の出から2時間後にしか捕捉できませんでした。
 そして、12月27日の満月です。

 満を持すため、2日前の25日から練習しました。
 それが右の写真です。
 月齢13.1の月ですから、日没よりも2時間ほど早く出るのはいいとして、問題はその方角です。
 この写真の撮影場所は、名鉄揖斐線の旦ノ島駅と尻毛駅の中間にある伊自良川にかかる通称尻毛橋(尻毛橋梁)です。
 この橋の部分では、揖斐線はほぼ東西に走っています。
 
 ほぼ真東から真西に向かう電車に対して、月が写真のような角度で出ています。
 
 この角度ではこの場所では「満月を背にして」という写真は絶対撮れません。

 正直、私は、満月はもっと真東の方から、いつも出るものと思っていましたから、「えっー」という感じでした。一体月の出の方位はどうなっているのでしょう???
 職場の同僚(つまりは先生です)に聞いても、誰一人知りません。(理科の先生もいました。(--;))

 こういうときは便利なインターネットです。早速調べたら、その道の達人が、いろいろ説明してくれていました。
 ※以下のデータの詳細は、「こよみのページ」を参考にしました。感謝、こちらです。
 
 
12月の満月は、12月27日(月齢15.1)でしたが、その時の月の出は17時06分、そして問題の方位は59度でした。
 方位は、真北が0度、時計回りに増えて、真南が180度ですから、59度と言うことは、真東(90度)から、31度も北に偏しています。北東(45度)とまではいきませんが、東北東(67.5度)よりは北側です。

 「確か自分の記憶では満月は東から」と同僚に言いましたが、みんな、「そうだ。そうだ。」と言います。
 これは私だけの錯覚ではなさそうです。一体どうなっているのでしょう。

 自分(達)の非常識さが恥ずかしいですが、
月の出月の入りは、日の出日の入りと同じように時間も方位も、季節によって異なっているのでした。
 どう異なっているのかは、比較的簡単な原理でした。

 満月に関して言えば、満月は月が太陽と反対側に位置している時に生じるということを理解することが出発点です。つまり、北半球では、12月の冬至の時期は、月はあたかも太陽の夏至の時期のように動くのです。
 したがって、夜の時間が長い分、満月が空にある時間は長く、まるで夏の太陽のように、東よりずいぶん北に偏った位置から出て、朝は比較的遅く、西よりはずいぶん北に偏って、沈むのです。
12月27日の満月の翌日の月の入りは、朝7時42分で方位は305度です。(真西は270度)
 満月は、なんと14時間36分も空にあり、その南中高度は、82度くらいです。すごい高い空を通って行くのです。

 月齢16.1の月と揖斐線電車。揖斐線の線路が、東西方向から、少し東北東−西南西方向に傾いている場所を選んでの撮影です。
 しかし、得体の知れない写真となってしまいました。赤い月の中の模様は木の枝の陰です。堂々の失敗作。(美濃北方駅西 糸貫川鉄橋 撮影日 04/12/28)

 反対に、6月の夏至に近い時の満月は、遅く出て早く沈んでしまいます。また、月の出・月の入りの方位は、東・西より南に偏っているわけです。

 ということは、もちろん、3月と9月の月は、春分・秋分の太陽と同じように、ほぼ真東から出て真西に沈みます。
 私も含め、多くの方には、この春分・秋分の時期の月、とりわけ、中秋の名月の印象が強いため、「月は東から出る」という思いこみがあると思われます。
 いかがでしょうか。

 現実を一つ一つきちんと見つめていくこと。それが、認識の確かさの土台となるのは言うまでもありません。

 アドバルーンを上げることは大事です。「哲学」を熱っぽく語ることも必要です。でも、本当なら見えているはずなのに意識していない真実があることに気が付くのも、また大事なことです。


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