中に入りました。
もちろん、受刑者の姿を見ることはできません。
はるか向こうの所々にも、刑務官が監視のために立っていて、私たちが、変な行動をとれば、直ちに対応できる状況です。
刑 |
「この刑務所では、約190人余りの刑務官が860名の受刑者の面倒を見ています。
食堂です。一日、405円が食費として当てられています。このショーウィンドウの中の食事は、昨日までの3日間の実際の献立です。」 |
なかなか、見栄えのある献立で、中学校の給食と比べても何ら遜色はありません。
そばにいた子どもとお母さんの会話です。
母 |
「ごはんには、麦が混じっているのよ。」 |
子 |
「お母さん、ケーキもあるよ。うちよりおいしいもの食べてない?」 |
お母さんには気の毒な発言ですが、本当にケーキもあり、少なくとも、私の食生活よりは豊かに思えました。(平日はいつも残業で、夕食は、外食やらコンビニ食ばかりです。(-.-))
刑 |
「受刑者は、6時起床です。
8時から昼食時間を挟んで、16時40分まで、作業です。
風呂は夏は週3回、冬は2回。
一度に60人が入れるこの浴場を使います。入浴時間は、15分です。 |
これがまた、できたばかりのピカピカの風呂で、真ん中に湯船があり、周囲にシャワーとカランが並ぶ、普通のホテルの大浴場と同じです。
ただ、監視の刑務官のためのスペースだけが違います。
トイレは、風呂に限らず、どのトイレでも、扉の上半分はガラスになっていて、中が丸見えです。
刑 |
「今日は土曜日ですから、受刑者は、生活房にいます。普通の日は、この作業棟に「出勤」してきて、毎日8時間労働します。
労働に対しては、作業賞与金というのが支給されます。これは賃金ではありませんが、作業に対する褒美で、これを貯金して、出所後の当座の生活の費用とします。
岐阜刑務所では、1ヶ月に受刑者平均5274円の賞与金が支給されています。中には、1万9000円も支給される受刑者もいます。」 |
私 |
「受刑者によってそれほど差が出るのは何故ですか?」 |
刑 |
「作業するにあたって、受刑者はその経験と技術によって10等級にランクされます。同じ8時間働いても、そのランクによって賞与金が異なります。つまり、長く服役して、技術を身に付けている受刑者は、1時間当たりの賞与金が高額なのです。」 |
作業棟はいくつもありますが、そのうち、カレンダーなどの印刷作業場、洋裁作業場を見学しました。正確には、職業訓練棟○○作業場です。
どの作業場も、1人の刑務官が30人から50人の受刑者の作業を監視します。
作業上の壁には、前年の実績に応じて、生産目標金額が掲示してあります。
たとえば、第1職業訓練棟第1作業上は、洋裁工場ですが、9月の目標は23万円、実績は30万3千円で、無事目標達成でした。
刑 |
「企業と違って、製品を売るのではなく、基本的には外部からの注文に応じて生産するものですから、いわゆるノルマというものではありません。注文がなければ、作業量は減らさざるを得ません。目標は、一応目安として、昨年度実績を考慮して掲示してあります。」 |
見学時間は、正味30分ほど。終わってから質疑応答の時間が5分ほどありましたが、得られる情報は限られていました。
もっと、色々聞きたいことがいっぱいある、面白い見学ツアーでした。
最後に、岐阜刑務所に関する面白い記事を紹介します。タイトルは、「13度目逮捕『刑務所は岐阜がいい』 通算懲役52年の男『待遇良いから』」です。
平成16(2004)年10月9日版産経新聞に掲載されたものです。(一部略)
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現金などを盗んだとして、北海道警小樽署は窃盗容疑で札幌市の無職男(73)を逮捕した。逮捕は13度目。これまで受けた懲役判決は計約52年5カ月に達する。昨年12月、出所していた。男は「遊ぶ金が欲しかった。(刑の確定後には)待遇の良い岐阜刑務所に入りたい。畳の上で死にたいので、盗みはもうこれで最後」と供述しているという。
(略)
男は19歳のとき、初めて窃盗容疑で逮捕されて以来、刑務所を出ては戻る生活だった。「刑務所の運動会で800メートル競走の選手になったこともある。若者にはまだ負けられない」とも話しているという。
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岐阜刑務所は、”ベテラン”にも愛される刑務所のようです。
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最後に、関係サイトを紹介します。
刑務所の作業製品については、「刑務所作業製品とは?」を見てください。こちらです。
刑務所内の規律・ルール等については、「統一獄中者組合」のサイトをご覧ください。
「えっ、その組合って何」という疑問も含めて、まあ一度ご覧ください。こちらです。 |
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