2004-02
| 日記のメニューへ | | 一つ前に戻る  | 次へ進む |
070 2004年2月8日(日) 3D地図作製ソフト「カシミール3D」       

 最近、教育界でも話題になっている3D地図作製ソフト、カシミール3Dについて、ちょっと解説します。
 コンピュータの世界で見ることは、どれもこれも驚くことばかりです。しかし、プロならではというのは、感心はできても、まねはできません。
 自分で簡単にできて、しかもコストもあまりかからないというのは、そうたくさんはないものです。
 
 ところが、カシミール3Dは、コスト、操作性、何ができるか、著作権などなどどれをとっても、「150へぇー」ぐらいの優れものです。

 これはフリーのソフトウエアですから、詳細は、作者杉本智彦のサイトを見ればいいのです。(こちらです
 ここでは、@コスト、A何ができるかB著作権に関連することに絞って、私が感じたすばらしい点を説明します。

@コスト
 カシミール3Dは、フリーソフトですから、ソフトの入手は、上記のページからダウンロードすれば終わりで、料金は全くかかりません。

 しかし、3D画像を作るためには、地図データをそろえなければなりません。残念ながら、これについては、無料のものは、内容が限られます。作者提供のお試し版や、他のサイトの無料版もありますが、日本全国について完全に網羅するというものではありません。

 地図については、国土地理院の地図(ディジタルデータ)を利用するのが最も基本的です。二つのタイプの地図が必要です。 

  1. 地図画像…等高線や道路や地名が書かれた、いわゆる普通の「地図」のディジタル版。

  2. 標高データ…3次元の画像を作るために必要な3次元の地形情報をもつ地図。道路や川は記載されていない。

 杉本氏は、カシミール3Dに関して次の操作マニュアル本を発行しており、それぞれに、地図データがついています。
 ※出版元は何れも実業之日本社
 ※( )内は添付の地図

  1. 「カシミール3D入門」(20万分の1地形図、5万分の1地形図〔関東甲信越周辺〕全国50mメッシュ標高データ)価格1900円

  2. 「カシミール3DGPS応用編」(20万分の1地形図、5万分の1地形図〔西日本全域〕全国50mメッシュ標高データ)価格2300円

  3. 「カシミール3Dパーフェクトマスター編」(20万分の1地形図、5万分の1地形図〔北海道・東北全域〕全国50mメッシュ標高データ)価格2600円

 つまり、この3冊をすべて購入すると、このソフトの使い方の解説と、
     20万分の1地形図、5万分の1地形図
全国50mメッシュ標高データ
の3つの地図が手に入ります。つまり、6800円で、まずまずの精度の3D地図が描けることになります。


A何ができるか
 このソフトでできることはいろいろ山ほどあります。

 私は、まだ、たった1週間前にこれに初めてさわった初心者です。でも、次のことはすぐにできました。


冬の伊吹山、雪が降ったあとの晴天の図。大垣市の西部からの眺めを想定。雪は、標高600m以上に積もるように設定、太陽は日の出時間、雲もデザインしてあります。

秋の紅葉の金華山を西側→北側→東側→南側の順にぐるっと眺めた画像です。こんな細切れではなく、本当にムービーのようにすることもできます。但し、インターネットでは重くなります。

(2枚とも国土地理院の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を利用)

本物の伊吹山。上の画像とは違って南南東側からの写真。手前は新幹線。

本物の金華山。曇り空で残念。これは、西側の地上から見た写真。


 現在のこのソフトの利用者は、「登山」の愛好家が多く、GPS(汎地球測位システム)も利用して登った山について、ルートなどのその記録や写真をあわせて画像を作るという例が多く見られます。標高差を3Dで表すというのがこのソフトの得意技なのですから、登山=山というのは、やはり一番向いているわけです。

 しかし、このソフトは、等高線段彩図、2点間断面図など、地理の授業で学習する要素が簡単に実現できます。
 また、歴史の授業では、歴史的な事件等の説明も3D画像でできます。たとえば、関ヶ原の戦いなどは、格好の対象です。
 
 全くの平地ならともかく、山がちの日本ですから、いろいろ工夫できる可能性はそれこそ無限というわけです。

B著作権に関連すること
 最後に著作権について触れます。
 カシミール3Dの著作者は、これを使って教材等を作ったり、ホームページに公開したりすることについて、全く制約を加えていません。
 
 但し、一つだけ、きちんとしなければならないことがあります。
 
 国土地理院の地図を使う以上、測量法の規定に従わなければなりません。これは、出版物・ウエブページでの公開などすべて対象となります。

  1. 学校での授業、試験問題、社内会議、学術論文等での利用は、書面での申請の必要は不要。出典を明記して利用。(例「国土地理院の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を利用して作成」)

  2. このページのように、ウェブページ上でも、「内容補足のために、挿絵的に3枚程度の地図画像掲載する」ことについては、書面の申請は不要。出典を明記して利用。(同上)

  3. 上記以外の場合で、立体地図を作る場合は、測量法30条に基づく申請が必要です。

 ※こちらが国土地理院のサイトです。
 ※測量成果の複製・使用承認はこちらです。

 申請方法に関しては、すでに先達が何人もいて、名前を変えるだけの申請書類の見本もダウンロードできるサイトがいくつもあります。
 ※そのひとつ、「信州山遊びネット」を紹介します。
   トップページはこちら    申請案内のページはこちら

 2003年の文部科学省主催の研究集会でも、地理の授業でこのカシミール3Dが利用されていた例が報告されていました。

 社会科、地歴公民科の先生方、是非挑戦してみてください。まずはお試し版から、全く無料です。 
 ※カシミール3Dのウェブサイト

<追記>
 2月9日付けで国土地理院に申請した「測量結果使用承認」願いに対して、2月27日に、「承認書」が届きました。
  ※私が送った申請書は、こちらからダウンロードできます。
    右クリックして、「対象をファイルに保存」を実行してください。Wordファイルです。
    同じ目的での承認申請なら、住所名前等一部の修正で、そのまま利用できます。

 「承認書」に従って、次のように、記載しておきます。

ここに掲載の地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。(承認番号 平15総使、第523号)


| 日記のメニューへ | | 一つ前に戻る  | 次へ進む |