少し前になりますが、11月末の東京出張の際に、九段の靖国神社の中にある遊就館に行ってきました。 これは、靖国神社の説明によれば、神社に祀ってある祭神に関係する遺物を収納した建物です。 簡単に言えば、出征して亡くなった将兵の関係遺物を展示しているところです。 展示物といっても、小さなものは手紙や将兵の身の回りのものや軍服と言ったものから、 大きなものは、なんと、大砲やゼロ戦まであります。 最初にできたのは、1882(明治15)年と古い時代ですが、2002年には本館の内装が改装され、また、新館を増設して、それまで露天に展示してあった大きなものが、建物内に収納されました。 下の写真は、大きなも展示物のほんの一部です。
ゼロ戦52型
人間魚雷回天
97式中戦車
戦艦大和46センチ主砲弾
これらの関係遺物は、日本に残されていたもの、もともとの戦場に残されていて多額の費用をかけて回収してきたもの、一時外国人(機関)の所有にあったものが返還されたものなど、ここに展示されることになった経緯はさまざまですが、いずれも、本物です。 遊就館の展示の趣旨は、亡くなって靖国神社に祀られた人々が、明治以来の日本の戦争の中で「大義」のもとにいかに勇敢に戦ったかということを顕彰することにあります。したがって、展示コンセプトの中には、歴史教師としてちょっと違和感のあるものもあります。 しかし、これらの展示はまた、いずれも、何百万もの日本人将兵が実際に戦場で関わってきたものであり、その現物の迫力は、主義主張を超えて、訴えかけるものがあります。 将兵や、家族の手紙も展示されています。 「大義」がどのようなものであろうとも、命を懸けて戦った将兵の苦しみや、それを送った家族の悲しみは、時空を超えて、見るものの心を打ちます。 「靖国神社」というと、政治的な問題からある種の偏見を持って見られる人も少なからずありますが、遊就館は、すくなくとも歴史の教師には必見の場所です。 ※靖国神社の公式サイトはこちらです。 2003年12月9日、小泉内閣は、臨時閣議で、「イラク復興支援特別措置法」に基づく、自衛隊のイラク派遣の概要を定めた基本計画を決定しました。 2004年1月以降、陸上自衛隊600人、航空自衛隊150人が派遣されます。それらを輸送するために海上自衛隊の護衛艦なども派遣されます。 靖国神社の遊就館の中にある将兵や遺族の手紙は、後世に生きる我々に、戦地に赴いた将兵が、戦場で死ぬ瞬間まで何に煩悶しているかを訴えています。 それは、「自分は何のために戦い死ぬのか」の答えを、苦悶の中で見いだそうという、自分の生への当たり前のこだわりです。 世の中に誰から見ても「大義のある戦い」などというものは、実際には存在しないかもしれません。しかし、このイラク戦争は、どこからみても「大義」を見つけにくい戦争となっているのではないでしょうか。 2003年12月12日、朝日新聞の調査によれば、小泉内閣支持率は、41%に下落しました。田中真紀子外相更迭で混迷した2002年6月時点に匹敵する低支持率です。