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<アメリカからの情報>

013 Summer School、白熊、そして?? 2005年05月08日記述     |目次へ戻る |

 
 今回のタイトルは、二つの話からなっています。
 
Summer School と白熊、そして??です。

 まずは、
Summer School です。

 アメリカのアイオワ州の友人スティーブは、今年も、
州立リンカン高校の世界史の教員と、自分の居住地域であるSouth East Polkの教育委員会の教育委員の2足のわらじをはいて、頑張っています。

 実は、あと1ヶ月余りで2004−05のschool year(学校年度)は終了し、6月15日からは夏休みに入ってしまいます。それから8月の末の年度初めの始業式まで、10週間ほどの長い夏休みです。(同じ教員としては、その長さにため息。)
 ただし、今年の冬は、アイオワの天気が大荒れに荒れて、吹雪で学校閉鎖となる日が多かったため、その代替授業日が設定され、これでも通常よりは、短いのだそうです。

 その長い夏休みをどう過ごすかです。
 長い夏休みといっても、日本の教員と違って、彼らには給料も支払われませんから、スティーブも奥さんのメアリー(中学校の地理の先生)も、夏期休業中は、別の仕事をしています。

注1

そうそう給料といえば、もともと、アイオワの公立高校の教員の給料は、全米50州のうち35番目と低いランクにあり、彼が嘆いていました。ちなみに、03−04年度の彼の基本給は、税込みで54,000ドルです。もちろん、10ヶ月間に対する払いです。月5,400ドルなら、私の給料よりも高いですが、ボーナスの分も入れると、私の方が少し多くなります。

注2

ついでですから、全米の州別教員平均給料のランキングを紹介します。
ちょっと古くて1999年のデータです。
 ※ネブラスカ州の教育省のデータです。本編はこちらです。(PDFファイルです。)
順位 州名 平均給料額ドル
コネチカット 52,500
ロードアイランド 52,228
ニュージャージ 52,147
35 アイオワ 35,791
49 ミシシッピ 30,147
50 ノース・ダコタ 29,610

 これを見ると、アメリカは州によって行政は独立してバラバラと言うのが常識ですが、教員の給料もえらく違うことがわかります。
 スティーブの、54,000ドルは、アイオワの教員の中では最高ランクですが、コネチカット州では、平均がそれぐらいあると言うことです。
 また、全体に、日本の教員よりも給料額が少ないことがわかります。

 日本では承知のように地方分権が進み、教員給与の国庫負担分が都道府県に移管されていきつつあります。その財源分の使途が自治体の権限に任されると、アメリカの各州のように、各都道府県の教員の給与額に大きな差が出るかもしれません。いやそうなるでしょう。

 夏休み中に、まったく別の仕事をする教員もいますが、彼らは、夫婦そろってSummer Schoolで歴史や地理を教えます。今年で3年連続です。
 この
サマースクールというのは、日本ではなじみの薄いシステムですのでちょっと説明します。
 これは、彼が住んでいるアイオワ州では、各地域ごとに高校の校長が管理者となって設置している期間限定の学校です。たとえば州都デモインでは、毎年まわりもちで、2・3の高校で開講されます。時期は通常の夏休みに入った日から30日間です。

 7時30分から12時15分までの時間帯に授業が開講され、受講生徒は1科目125ドルの受講料を払って授業を受けます。
 誰が受講するのかと言えば、多数は、長期の欠席や成績不振などによって通常の授業ではその年の単位の修得が認められなかった生徒です。一部、自分の計画で通常以上の単位を取りたい生徒も受講します。このため、開講される授業そのものも、目的やレベルに応じて、同じ科目でも複数開講されています。
 生徒の中には、移民の子どもで、
ESLの生徒もたくさんいます。English as second lunguage、つまり英語が第2言語という生徒です。
 スティーブによれば、この生徒を教えるのがなかなか大変とのことです。
 
 脱線してついでに記述すると、アメリカの各州の教育委員会は、ESLの生徒や保護者のため、英語が使えるようにするプログラムを提供しています。つまり、第1言をベースにした英語学習講座です。
 アイオワというアメリカ中西部の州(カリフォルニアやニューヨークほどたくさんの移民が住んでいるわけではない)で、その講座の種類はいくつぐらいだと思われますか?
 その数は、なんと47です。
 
 話を元に戻します。
 つまり、岐阜県の高校では、「補充」と呼んでいて学校ごとに実施されているものが、地区全体で制度化されて実施されているわけです。もちろん、生徒は、面識のない他校の先生に習う場合もあるわけですが、それでも、30日間の授業を受けていくつかの試験に合格すれば、自分の学校の単位として認定されます。
 合理的というか、割り切っているというか、いかにもアメリカ的な制度です。
 
 スティーブ夫婦は、校長先生方の信頼が厚く、これで3年連続希望して担当していますが、彼によると、問題もあります。
 つまり、そのノウハウの継承が、年度ごとに学校や教員間で十分なされているわけではなく、試行錯誤の繰り返しになってしまっている、とのことです。まあこれは容易に想像できます。これについては日本もアメリカも同じです。

 もちろん、教える先生方には、通常とは別の契約によって別の給料が支払われます。
 ついでにいうと、彼は、昨年は、このサマースクールの授業で、「
コンピュータを利用した歴史と地理の授業」をパイロット授業として取り組みました。
 その後も、04−05年度全体を通して、それを継続して実施したはずですから、いつかその成果も教えてもらって報告できるかもしれません。そもそもコンピュータが余り得意ではなく、年齢も高いスティーブ(現在年齢は58歳)が、何をどう取り組んだかは、とても興味があります。
 
 また、高校生に対するものとは別に、大学で開講される
小中学校・高校の教員に対するSummer Schoolもあり、彼らはこちらの講師もしています。
 これは、教員の免許証の更新のために、教員が受講し獲得しなければならない単位です。日本とは違ってアメリカの各州では、教員免許状を更新しないと教員を続けることはできません。
 夫妻はうまく日程を調節して、中学校の先生の免許更新用の授業としてのアメリカ史と地理の講座の講師の契約もしています。4週間で15時間の授業で、昨年度は、こちらの分として夫妻で3324ドルの収入を得ました。

 スティーブ夫婦は、7月半ばまでの30日間はこれらの仕事で給料をもらい、残りは無給で過ごします。
 残りの日々は無給でいいのかと聞くと、「自分の家の農場の仕事が大変で、アルバイトしているヒマがない」ということでした。

 ただし、夏休みに関しては、今アメリカでも、教育改革が進行中であり、アイオワでは学力の維持・向上のために授業日数を増やして、夏休みを8週間に縮める提案もなされ、検討中だそうです。 


 さて、二つ目の話題、北極海・白熊、そして??です。
 スティーブは時々、夫妻の友人からのメールを転送してくれます。
 その中に、「Something you may never see in your lifetime...」というタイトルの4枚の写真がありました。
 「日常生活ではあまりお目にかかれないもの・・」でしょうか。
 確かに、普通の市民にはあまり体験できない、撮影できない写真でした。紹介します。

 

写真その1

 これは、白熊の写真です。
 では、場所はどこでしょうか?
 右端の「5・4・3」とか書かれたものは何でしょうか。
 
 続きはこちらです。

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