宝仙寺は平安後期にかの有名な源義家によって建立された真言宗の由緒ある寺院です。青梅街道に面して広い伽藍を持っています。(営団地下鉄丸の内線中野坂上駅下車徒歩6分)
残念ながら第二次大戦中の空襲で焼け、その時に、200年間所蔵されていた象の骨と牙の一部が焼損しました。現在では、寺宝として所蔵してあることになってはいるものの、一般公開はされていません。
象に関する資料は、東京都中野区立歴史民俗資料館に所蔵されています。
(西武新宿線沼袋駅下車徒歩12分)
※参考文献
武光誠著『頭のよすぎる日本人 ジャポニズムの意外な真実』(同文書院1990年)P255〜56)
『中野区立歴史民俗資料館 武蔵野における中野の風土と人々のくらし』(中野区教育委員会編1989年)
ここで、ゾウについての現代の話題をついでにお話しします。
今全国の動物園で、ゾウの高齢化が進んでいます。
ゾウは、犬やネコなどと比べれば、うんと長生きする動物で、50年以上生きることも珍しくありません。
日本の動物園は、昭和20年代から30年代につくられたものが多く、その時人気者として輸入されたゾウたちが、あちこちで高齢化しているのです。
以下は、高齢ゾウのいる動物園です。
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動物園名 |
ゾウの名前 |
年齢 |
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札幌市円山動物園 |
花子 |
57 |
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東京都井の頭自然動物園 |
はな子 |
55 |
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横浜市野毛山動物園 |
はま子 |
58 |
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小田原市動物園 |
梅子 |
56 |
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大阪市天王寺動物公園 |
春子 |
54 |
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阪神パーク甲子園住宅遊園 |
キク子 |
59 |
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同 |
アキ子 |
54 |
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神戸市立王子動物園 |
諏訪子 |
60 |
これらのゾウは、見た目にも、「年老いた」という感じで、健康維持も大変です。
東京都武蔵野市の井の頭動物公園のはな子は、ものを噛む力が落ちて、餌をそのまま与えると、消化不良に陥ってしまいます。そのため、牧草やニンジンは細かく裁断してもらい、水で戻した干し草やすりつぶしたバナナやリンゴと混ぜて団子状にして、食べています。
老いた皮膚は皮膚病にかかりやすいため、乾燥しやすい部分にはオリーブオイルを塗ってもらっています。
こうした老いたゾウたちを、いつまでも現役のまま動物園においておくのは忍びないというわけで、千葉県勝浦市の房総半島の丘陵上には、「老ゾウホーム」が建設されつつあります。
これは、千葉県市原市の動物園、市原ぞうの国が「ゾウが老いた時自然の中で静かに余生を過ごせる楽園」を作ってやりたいと考えて、建設しているものです。
一方で、沖縄子どもの国沖縄動物園では、動物を見に来る小学生達には、「動物園には元気者ばかりではなく、こんな老いた動物もいる」ということも分かってもらうべきで、老いた動物を観客とともにありのままに見つめていこうとしています。
もっとも、人気者だったアシカは、老いて物忘れがひどくなり、アシカショーからは引退をすることになりましたが・・・・。
※最後の項目は、『日本経済新聞 平成15年3月23日 Sunday Nikkei』を参考にしました。
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