現代日本経済の諸相2
<解説編>
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501 消費者物価指数の対象に品目の変更は?                  

 正解は、右下の表の通りです。
 消費者物価指数の対象品目は、600ほどが指定されており、5年ごとに生活の実情に合わせて見直されます。今回は、表のような55品目が廃止され、新たに71品目が追加されました。
 
 

追加

廃止

食料品

おにぎり      ミネラルウオーター
発泡酒      牛どん

外国産米       さけ缶詰
サイダー(飲料)  プレスハム

住居関連

温水洗浄便座  電気ポット

2槽式洗濯機    扇風

教養娯楽

パソコン      サッカーボール
月謝(英会話)  外国パック旅行

テープレコーダー  軟式野球ボール
月謝(
珠算)     鉛筆削り機

その他

携帯電話代人間ドック受診料
ヘアーカラーリング代

男子ランニングシャツ
婦人ウール着物


 パソコンが今回初めて登場したと言うことは、ここ数年の趨勢から当然といえるでしょう。追加されるもの廃止されるもの、それぞれ思いはいろいろです

 今度の見直しでは、パソコン・牛どん・外国パック旅行など値下がりが続いているものが多く追加されたため、これらが統計に反映されれば、日本の消費者物価は、ますます減少していく傾向になると思われます。
 ※『中日新聞』(2001年8月16日朝刊)


502 ロスのホテルの売却代金はいくらか?                    |  この分野の問題編へ |

 このホテルは、ロサンゼルスの観光スポットであるロデオド

雨のリージェント・ビバリー・ウィルシャー・ホテル。
2000年のアメリカ旅行ではこのホテルの前を通りながら、写真撮影を忘れてしまいました。このため、この写真は、ニューヨークにいる「特派員」に撮影を頼んで送ってもらいました。ずっと前に授業で日本史を教わっただけという縁なのに、快く特派員を引き受けてくれたロス在住のSさん。感謝。

ライブが東西のウィルシャー通とぶつかるところにある、リージェント・ビバリー・ウィルシャーホテル(The Regent Beverly Wilshire)です。

 その時代を同時代として生きた我々は、1980年代後半はバブル経済の時代、1990年代はバブルがはじけた低迷の時代ということは、自明のことです。

 しかし、バブルの時代にうまれ、今高校生になっている生徒たちには、物心ついたら、もう不況の時代であったかもしれません。
 したがって、この問題にも、買った時より値段が上がると考えるのか、下がると考えるのか、生徒たちが育ってきた間に自分の力でどのくらい学習したかによって、違ってきます。

 大人の方は、「さてどのくらい下がったかな」と考えるところです。
 答えは、1980年代後半に300億円で購入したものを、1996年2月に109億円(ドル立てでは、1億ドル)で売却したのです。

 結果的に、10年足らずの間に、200億円の損失を被ったのでした。
 これが、日本の演じたバブル経済の実態です。

 その日本資本の中心は、環太平洋のリゾート王を自称する高橋治則氏(のちに背任罪などに問われる)率いる「イ・アイ・イ―インターナショナル社」グループでした。バブル時代、高橋氏は日本長期信用銀行の杉浦敏介取締役最高顧問(当時)のお墨付きをもらい、最も多い時は、長銀から総額6000億円の融資を受けていました。
 結果的に、イ・アイ・イ―インターナショナル社のリゾート開発は、1990年頃から各地で破綻し、最終的に、長銀の融資のうちの1800億円以上が不良債権となりました。
 これは、1998年の日本長期信用銀行そのものの破綻の原因のひとつになりました。
 
 貿易収支の黒字で集めた資本と、あくまで右肩上がりの経済を盲信した結果が、実態のないバブル経済であったわけですが、このクイズは、現代日本経済の学習の導入の部分に最適であると思います。
 土地の暴騰、各地のリゾート施設への投資、世界各地の不動産の買収、地上げ・・・・。そして、金融機関の破綻、不良債権・・。
 バブル経済とその後の時代を象徴するいくつものキーワードが、この事件からは学習できます。
 バブル経済とは何だったのかは、現代の経済の学習の最重要課題であることは言うまでもありません、。このクイズは、ほんの導入です。クイズ、現物、いろいろな角度から学習したいと考えています。乞うご期待。

 ところで、リージェント・ビバリー・ウィルシャーホテルは、今も昔も超高級のホテルです。
 日本の資本が所有していた頃、このホテルを有名にした映画「プリティーウーマン」(1990年)が作られています。
 
 ゲリー・マーシャル監督によるこの映画は、ロサンゼルス滞在中のリッチなビジネスマン、エドワード(リチャード・ギア)が、たまたま街で知り合った娼婦ヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)と1週間の恋人契約を結ぶところから始まります。貧しい生活しか知らないヴィヴィアンは、エドワードの「訓練」で次第にレディーに成長。そして、「恋人契約」も本当に本との恋人関係に・・。というハッピーエンドのラブストーリーです。

 そのふたりが暮らすのが、このホテルの最上階(といっても10階、意外と低めです)にある最高級の部屋という設定です。この部屋、プレジデンシャル・スイートは、なんと一泊4000ドルもするのだそうです。一泊、40万円以上。!!!!。部屋のキーがなければエレベーターは作動せず、広々としたホール、きらびやかなリビング、大きなテーブルのあるダイニング、ベッド・ルームが2つ、バス・ルームが2つ、書斎のある部屋・・・、ホテルの部屋というよりも高級プライベート・マンションといった趣です。なんでも、各国の首脳クラスが泊る他、アラブの王侯貴族、そして石油王たちが定宿にしているとのことです。
 
 映画の気分を味わいたい人のためには、ホテルの1階のバーに行くのがおすすめです。その名もプリティーウーマンという名のカクテルがあり、女性に大人気だそうです。また、同じく1階の奥にはレストルーム(要するにトイレです)があって、これまた総大理石のゴージャスなものだそうです。
 ロス旅行でそばまで行ったのですが、汗くさい子どもたちをつれて、しかもTシャツ・半ズボン姿では、気後れして中には入れませんでした。今度はスーツ着ていこう。
 このホテルの前、北西に斜めに走るロデオ通り(ロデオドライブ)のあたりは、高級ブティックの巣です。妻を連れて歩くには、誠に危険な一帯です。もちろん治安上ではありません、財布が危険です。

 入り口の所にあるツーロデオにはティファニー。ロデオ通りに入ると、時計のブルガリ、ルイ・ヴィトン、バレンチノ、セリーヌ、ベネトン、サルバトーレ・フェラガモ、カルティエ、シャネル、グッチ、エルメス、ジョルジオ・アルマーニ、プラダ・・・。
 すべてを足早に通り過ぎた私は、3男Dとおもちゃやさんに入って、アメリカの子供向けレゴを買いました。「父ちゃん、説明が英語で書いてある。」彼は今でも大事にしています。 


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