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157 2024年01月16日(火)復活へ向けての物語1 
 年の初めの日記といえば,謹賀新年の挨拶と,年頭所感などを書くのが当たり前であるが,今年は本人の興味も皆さんの関心も,私が年末の12月14日に受けた,パーキンソン病の症状の緩和のためのDBS手術がどうなったかにあると思われる。
 
 そこで,1月の「新・未来航路」は,この記事の掲載場所を「なんだこりゃ」から「日記・雑感」へ移して,改めて「DBS手術の結末・成果」について書くことにする。

  1. 改めてDBS手術の具体的方法とねらい(DBS手術とは何か)
  2. 写真で確かめるDBS手術
  3. DBS手術異聞
  4. DBS手術の結末・成果

(1)DBS手術とは何か(具体的方法とねらい)
 Deep Brain Simulation処置手術とはどのようなものか。以下簡単にその手順を説明する。
■はこの時の医師の発言,または私の対応を示す。実況中継附き.
1.病室(6階)から車椅子に乗って出陣。手術室ではなく,1階MRI・レントゲン室ヘ向かう。
   ■医師「麻酔がよく効くよう,眠くなる注射を打ちます」
 2.レントゲン室で頭骨の周りに定位脳手術装置フレームという。)を,MRIによって3次元画像を確認し血管その他構造物をリードと延長線が妨げな    いよう,取り付ける。   
   ■医師「Mさん,ちょっと痛いですよ。頑張って。」
   ■「話しは違いますが,ここの手術設備には,手術中のBGMというのはありませんか。」
   ■「ありません。どうしてそんなことを聞くのですか?」
   ■「先週検査を受けた病院では,MRIのBGMに森進一の「襟裳岬」が流れていた。」
   ■「BGMにしたいあなたが好きな歌手は」
   ■「谷村新司・・・」(ここで急に記憶が薄れる)
 3.MIR室から手術室へ移動。
 4.局所麻酔により頭部の皮膚を直径3から4cm程切開し,その下に1cm大で尖頭する。
   ■「この尖頭の時のキュルキュルと言う骨を削る音は耳に残っている」
 5.リード(深部電気刺激用の微小電極)と延長線を視床下核へ挿入
   ■「何やら音は覚えているが・・,・・目は自然と瞑って.眠りへ)
 6.全身麻酔のもと,延長リードを耳の後ろ鎖骨を通して前胸部まで通す。
 7.リードに電気信号を送るパルス発生器(発振器バッテリー)を右の胸に埋
   め込む。
 8.16時過ぎに手術終了。
 9.19時頃麻酔覚醒,病室へ戻る。

>(2)写真で確かめるDBS手術
 以下は,私の体の写真を題材に,手術の概要を説明したものです。

 写真01 17日17:30 手術室から戻ってきた頃 三男D撮影  写真02 右と同じ時間。頭部のガーゼが痛々しい。

写真03 翌朝 まだ意識は朦朧 特に酸素濃度が低かった   写真04 左と同時刻の私頭の形がゆがんでるように思える

写真05 12月25日の頭頂部の切開跡   写真06 右胸にパルス発生器を埋める 

写真07 手術10日後の傷跡  写真08 延長リードは耳の後ろクビの外側を通る  

 写真09 クビの横には延長リードが埋まる 写真10 4つの点滴跡と広い点滴漏れの跡

(3)DBS手術異聞
 手術から2日目,ある看護師が尋ねてきた。「これが点滴を2本とも自分で勝手に抜いちゃったという跡ね。」
「え,それなんのこと?」
「この4つの点滴跡と点滴液漏れの跡がその証拠ね。手術の時,夢でも見たようで,随分暴れたみたいよ。」」(写真10)
 夢と聞いて,思い当たる節があった。パ-キンソン病の患者の行動の特徴の一つに,「よく夢を見る」というのがある。夢を見てベッドの上で体が反応してしまうことである。私も病気に罹った初期の頃は,夢を見てそれに反応し,横で寝ている妻を悩ませた。
 大きな声を出す。返事をする。夢の中で場面に会わせて動くなどなど・・・

 中でも最高のものは,悪党一味を追いかけていた私は,相手が飛行機で逃げていく所を自分も飛行機で追いかけ,近づいて相手の飛行機の後部に飛び乗るという,ブルース・ウィルス顔負けの大活劇を演じたことがある。もちろん失敗に終わり,気づくとベッドから飛び降り近くにあった整理ダンスの角で額と目を切って,流血している自分を発見した。(-_-;)
 手術中に夢は見た。
 退院して年を越した今でも覚えてる程,はっきりとした夢であった。
 今回は病院が舞台であった。10月の名古屋大学医学部附属病院へ検査入院,そして今回の名古屋メディカルセンターへの手術・入院をとおして,病院のいろいろな構造や矛盾点が知識として理解された。それが集まって手術の日に大スペクトラムとして上演された。脚本の骨格となったのは,次の諸点である。
・各病院の職制は階層的に構成されている。※着衣の色で明確に示されている場合もあり。
・ある理学療法士の職員は服の色は親しみに繋がると理解していたが,私には婦長(濃紺の服)以下の「階層」の意味合いを強く感じた。
・看護師と看護助手は国家試験合格者とそうでない者との違いがあり,その差別感は致し方ないが,両病院とも,看護助手の仕事の構成に問題がありそうに思えた。
・看護助手の重要な仕事の一つに配膳がある。メディカルセンターの場合看護助手のSさんがそのチーフである。夜のその仕事をする彼女の部下は,話す言語・風体からしてアジア系外国人らしいと思われたが,聞いてみるとなんとネパール人であった。
私「彼らはよく働くか?」
S「言葉の壁が・・・」
・別の日,ネパール人に聞いてみた。「名前は?」「○○○○・モクタン・○○○○」ミドルネームのモクタン以外は聞きとることすらできない。それでも彼は日本人にも理解?できる「モクタン」の部分を必死でアピールしていた。           

【夢のあらすじ】
 名古屋メディカルセンターは一見普通の病院であったが,実はある外部組織に支配されており看護士をエサにした結婚詐欺を行っていた。
 自分の息子が被害者となってしまった私は病院に潜入してその秘密を暴こうとしたが,ドジを踏んで捕まり,地下牢に閉じ込められてしまう。やがて地下牢の天井が落下し始め,私に危機が迫る・・・・・。
 もちろん組織の手先はネパール人(ちょっと、偏見がありはしないか。モクタンはよく働く青年だったぞ。)
 そして組織を牛耳っていたのは,看護助手のSさんだった。働き者の彼女を悪玉の親分としてしまった私の脳の構造・潜在意識はどうなっていたのだろう。
 もちろん脱出するには手足を拘束する縄をはずさなければならず,それが点滴はずしの行為に繋がったのだろうと思われる。

 手術から3日目の夜勤担当の看護師も半分からかいながら,「Mさん、点滴自分でひっこ抜いたんだって。」
私「なんで知っているの」
「そういう重要なことはカルテに書いてあるのです」
「ありゃー」

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