日本の映画文化が海外へ輸出されていくことは、品物以上になんか素朴に嬉しい気がするのは、私だけでしょうか?
鳴り物入りで公開です。ハリウッド版「The Ring」。
「なんだこりゃ」で「貞子を悩ます方法」を書いて結構うけてしまった(^.^)私としては、未来航路のサポーターのみなさんのご要望(???)に答えて、是非ともレポートしなければなりません。(なんだこりゃ「貞子を悩ます」をご覧になっていない方はこちらへ)
早速映画を見てきました。
映画のストーリーは、ほとんど、日本版リングのリメイクです。これについては安易といえば安易です。したがって、ここでストーリーをお話しすることは、何ら差し支えないと思います。
つまり、日本版の主役の女性(松嶋菜々子)・別れた元夫(真田広之、貞子にやられる)・その子どもの男の子・貞子・その母、ここまでの構成は、全く一緒です。
条件設定というか舞台装置というか、呪いのビデオ・地方の宿泊施設・井戸も、すべて同じです。
監督は、ゴア・ヴァービンスキ、Dream Wroksの作品です。
<配役>
レイチェル・ケラー(ナオミ・ワッツ)主役の女性、シアトル・ポスト紙の記者
エイダン・ケラー(デイヴィッド・ドーフマン)レイチェルの息子、日本版よりストーリーに重大にからむ
ノア(マーティン・ヘンダースン)レイチェルの元夫、エイダンの父親、最後に呪われて死ぬ
サマラ・モーガン(?)さだこと同じ、超能力?を持った女の子?
アンナ・モーガン(?)サマラの母親、66回の流産の末、サマラを出産
リチャード・モーガン(ブライアン・コックス)サマラの父親
ではこの映画の感想と見所は・・・。
感想は、ひと言でいえば、アメリカ版の方が、日本版よりはるかに恐い作品となっています。どこからそう感じるのか、自分なりに感じた所を列挙します。
<見所>
恐く見せる映像効果という点において、これまでの数々の実績を持つアメリカ映画の方が、日本映画より上手です。たとえば、夕陽が沈む美しい光景から、一転してグレー一色の風景へ移るとか、美しい紅葉の木々の映像から一転して、恐怖の映像へとか、人間の目に映る一つ一つがうまく計算されて怖さが引き出されています。
サマラの住む島(日本では伊豆大島)、モエスコ島の自然情景が、日本のそれよりはるかに不気味です。自然の持つ雄大さや奥深さは、日本での撮影にでは限界があります。
井戸のある場所も、アメリカ版の方が、少し手が込んでいて、また、理論的で納得できます。この点については、日本版の神社の床下は、今ひとつでした。
レイチェルの子ども、エイダンがサマラと「交信」できるようになっていて、これがまた不気味です。日本版より格段と重要な役割となっています。
馬が大事な役で登場します。動物がからむと不気味さが増します。
また、同じようなストーリー立ての中で、いくつか異なる点がありますが、それがまた日米の文化の違い、生活感覚の違いを示していて、興味深いです。
<相違点>
日本と違って、サマラにはちゃんとした両親がいて、その家族の問題が比較的具体的に表現され、それが、サマラの怨念の原因となっています。さだこの、「わけのわからないひたすら不気味な超能力者」という設定ではありません。家族の中に原因を持とうとするのは、いかにもアメリカ的です。全体に家族間の愛情が当たり前ですが、隠れたテーマになっています。また、サマラを井戸に落としたのは、父親でありません。
サマラのビデオに登場する恐いものの象徴といった映像が、日本と随分違います。アメリカ版では、はしご段、むかで、馬、灯台・・・・。
何故、サマラがビデオに登場する様になったのか、ルーツの調査・精神病院・カルテ・診察時のビデオなどいろいろからませて、謎解きに重厚な厚みを持たせています。法律ものや裁判ものの手法をうまく使っていて、謎解きストーリーとしても面白いものがあります。
というふうに、褒める所ばかりではありません。今ひとつの点もありました。
<今ひとつ>
ストーリーにいろいろと細工を仕込んで重厚にしたため、理詰めになってしまい、おどろおどろしい怖さという点では、反対に薄れました。謎解き気分になると、怖さが薄れてしまうものです。
サマラが全体に、「元気です」。井戸からの登場シーンも、元気です。ここでもおどろおどろしさとは別の感覚があります。
というわけで、結論です。
アメリカ版のサマラを封じ込めるキーワードは、この作品の範囲に限っては、「愛情」が有効と想像できます。
但し、終わり方(エンディングは日本版とは違います)は、どの映画でも言えますが、シリーズ化へ向けて、今後の無限の可能性を暗示してエンディングを迎えていますので、サマラはもっとすごい存在なのかもしれません。
昨晩、3男Dは、いつも一人で寝ている階下の部屋から、わざわざ布団を持って2階まで上がり、兄のいる部屋に移動して、一緒に寝ました。こわい、こわい。 |