国際政治の諸相3
<解説編>
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303 この爆弾の様なものは何?                                        

 正解 右の爆弾のようなものは、水中スクーターです。
 つまり、アクアラングなどの潜行器具を付けた人間を乗せて水中を走る乗り物です。
 どこのものか?って、もちろん、北朝鮮の工作船に積まれていたものです。

 2001(平成13)年12月の
九州沖で不審船騒動が起きました。
 12月22日海上保安庁は、防衛庁から九州南西海域の不審船情報を入手し、ただちに巡視船・航空機を派遣して、それを補足しようとしました。
 不審船は、接近した巡視船の停戦命令を無視して逃走を図ったため、巡視船は20ミリ機関砲による威嚇射撃を実施しました。
 ところが、不審船は、自動小銃及びロケットランチャーによる攻撃を行ったため、巡視船「あまみ」「きりしま」「いなさ」が被弾しました。これに対応して巡視船群は同船に対して攻撃を実施。その後、同船は自爆用と思われる爆発物を爆発させ、沈没したのです。

 沈没地点の水深は90メートルありましたが、海上保安庁は事件の全容解明のため沈没した不審船の引き上げを決定。
 2002(平成14)年6月から引き揚げ作業を実施し、9月11日引き揚げに成功しました。

 この船は、上空からみると一見漁船のように見えます。しかし、漁船を改良したなどと言うちゃちな代物ではなく、高速走行に適したV字型の船形を持った特殊な船で、全長30m弱の船体にエンジン4基とスクリュー4基という強大なパワーを持っています。同じ大きさの漁船の10倍ほどの馬力を持っていたと考えられ、速力は30ノット以上と推定されます。
 船尾には漢音開きの扉があり、船内には小型艇が収納されていました。

 この捜査の過程で、この船が朝鮮民主主義人民共和国の工作船であること、薬物の密輸入に関与していた疑いが濃いこと塔が判明しました。もちろん、北朝鮮政府はこの事実を認めてはいません。
 同船は調査のあと、本年5月海上保安協会に引き渡され、5月31日から東京江東区の船の科学館に展示されました。以下の写真は、その展示物を撮影したものです。(撮影日は、2003(平成15)年7月11日(金))

工作船

小型艇

44ton 

総トン数

2.9ton  

29.68m     

全長

11.21m     

33knot

速度

50knot

備考

300馬力スウェーデン製エンジン3基


  V字型の船底

  甲板 ここに機関砲があった


 船首

 船体中央部 巡視船の機銃弾の穴があちこちにある


 後部は観音開き 中に小型船艇があった 
 船底のスクリューは4基

 45mm2連装対空機関砲


自動小銃

82mm無反動砲

携帯ロケットランチャー


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