現物教材 世界史7

 原始・古代006  インドルピー紙幣                    | 目次へ

 下の写真は、現在インドで使われている、10ルピー紙幣です。上が表、下が裏です。
 この紙幣がなぜ教材になるのかを説明します。


 まずは表ですが、右端のライオンの部分は、紀元前3世紀にインドに君臨したマウリア朝のアショーカ王が全国に仏教を広めた証として建設した石柱碑の最上部にある柱頭のデザインを引用したものです。

 

 3匹のライオンが立つ台座には、仏教を象徴する法輪が描かれています。
 ご存じのように、現在のインドの国民の多数はヒンドゥー教の信者で、仏教徒はほとんどいません。
 しかし、紙幣には、インド最初の王朝の偉大な国王の足跡として、このデザインが採用されています。
 インド紙幣から学ぶインドの歴史です。

 裏には、10ルピーを示す文字が複数描かれています。こちらは、インドの他民族国家としての状況を示しています。


 上の部分写真は、紙幣の下部を拡大したものです。
 
 中央の番号1をつけた文字は、デーバガーナリ文字で
ヒンディー語で10ルピーを示しています。
 番号15は、
英語です。
 
 通常インドの公用語というと、このヒンディー語と英語です。
 しかし、紙幣に書かれた言語はそれだけにとどまりません。

 左端の上の10と下の10の間には、合計13の言語で、10ルピーと書かれています。 
 主に州を単位とするこれらの13の言語も、インド憲法では、公認されています。
   

言語

文字

 

アッサム語

ベンガル文字

ベンガル語

ベンガル文字

グジャラート語

グジャラート文字

カンナダ語

カンナダ文字

カシミール語

アラビア文字

マラヤラム語

マラヤラム文字

マラーティ語

デーバナーガリ文字

オリヤー語

オリヤー文字

10

パンジャブ語

グルムーキー文字

11

サンスクリット語

デーバナーガリ文字

12

タミール語

タミール文字

13

テルグー語

テルグー文字

14

ウルドゥ語

アラビア文字


 インドの民族は、大別して二つに分けることができます。
 紀元前15世紀以前からインドの地に居住していた、ドラヴィダ人と紀元前15世紀から北方のカイバル峠を越えてインドに侵入してきた、ヨーロッパ人と同じ系統に属するインド=ヨーロッパ語族のアーリア人です。

 英語を除く、14の言語のうち、上図の黄色の枠の3言語は、ドラヴィダ人系の言語です。
  ※中西亮著『世界の文字』(みずうみ書房1975年)P24

 下の写真は、100ルピー紙幣です。
 ここには、10ルピーよりさらにもう二つ多い言語で書かれています。(何語かは調査不足で明言できません。)

 これらの紙幣は、インターネットのヤッフー・オークションで入手しました。
 ちなみに、現在の為替レートでは、
1ルピー=2.59円です。(2003年11月17日現在) 

肖像はインド建国の父、マハトマ・ガンジーです。 
 右下の100ルピー紙幣の左端をご覧ください。100と100の数字の間に、小さな文字が並んでいます。これを拡大すると、左上のようになります。