現物教材 文化3

003  ハラール食品 イスラム教徒用の食品     |現物教材:目次:現代社会・文化へ

 右のマークは、何のマークかおわかりですか?
 
 これが「
HALAL」(ハラール)のマークです。HALALというのはアラビア語で「許された」とか「合法の」という意味の言葉です。
 イスラム教徒には、日常生活で守らなければならないいろいろなルールがあります。
 その中で有名なものが
食べ物に関する規則です。
 主なものは次のとおりです。


アルコール豚肉の飲食は禁止。直接飲食するのはもちろん、アルコールが料理に含まれているのも不可。スープやブイヨンに豚由来のエキスが入っているのも禁止。チャーシュー入りのラーメンはもちろん禁止。チャーシューがなくても豚骨スープであれば禁止。豚の脂は使用禁止。

鶏肉・羊肉・牛肉・魚肉などは許されるが、イスラム教のルールに従った方法で処理されなければならない。たとえば、処理する人は原則イスラム教徒でなければならない。

豚肉と他の食品との接触にも規制があり、豚肉と一緒に輸送・保管することは禁止。豚肉を調理した器具などを使うことも基本的には禁止。たとえば、ごま油でトンカツを揚げたあと同じ油で野菜や鶏肉を揚げた場合は、その食品は禁止。


 世界史や現代社会や倫理の教科書には、イスラム教の教義や生活規則についてはそれほど詳しくは記載されていません。しかし、1857年に起こる、インドのシパーヒーの乱(以前の言い方では、セポイの乱)の理解のためには、ヒンズー教徒にとって神聖な牛、イスラム教徒が忌み嫌う豚の両方を強調しておかなければなりません。

この反乱はインド人傭兵が使用する新式銃の弾薬包に、牛の脂と豚の脂が用いられていたことに原因がありました。

 このHALAL」(ハラール)のマークは、イスラム教徒に食品の安全性(イスラム教的に)を保証するものであり、現在でもなお、それだけイスラム教徒が日常的に生活の規則を守っていることを示すものになります。

このHALALの認証を行うのは、日本では、NPO法人日本ハラール協会です。 http://www.jhalal.com/auth 


 この「HALAL」(ハラール)食品を手に入れました。
 ウエブサイトで探したところ、
Halal Food OnlineShop Said Shopが見つかりました。
 このオンライン・ショップでは、牛肉・鶏肉など100アイテム以上の商品が購入できます。一番気軽なところで、インスタント・ヌードルを購入しました。


 インスタント・ヌードル ミーゴーレン 100円   インスタント・ヌードル ミーゴーレン ペダス 100円 

 インスタント・ヌードル ミーゴーレン 100円   インスタント・ヌードル ミーゴーレン ペダス 100円 

 お湯の中で3分間ゆでるのは、普通の食品もHALALも同じです。右のミーゴーレン ペダスの方がぴりりと辛くて、おいしく感じました。ただし、外見上は、HALALであるかどうかの区別は、素人にはわかりません。 


 ところで、このオンラインショップはとても良心的です。
 私は、上記写真の左右のヌードルを二つずつ合計4個、総額にして400円をマイ・カートに入れ、カード決済で支払いました。次の日、このお店からわざわざ電話がありました。
「ご購入いただいてありがとうございます。あのう、合計400円のご注文ですが、送料がその倍以上かかりますがよろしいですか?」
 なるほど、教材として手に入れたい私ですから、送料のことなど念頭にありませんでしたが、普通の取引なら、こんな馬鹿な購入の仕方はしません。
 せっかくのご忠告でしたが、敢えて購入しました。(-.-)


 このHALAL食品については、以前から知ってはいましたが、新聞記事を読んで、具体的な購入を決断しました。新聞記事には、名古屋市内にハラールのイスラム食を提供するレストランが増加しているとのことです。原因は、東南アジアのイスラム教国からの観光客の増加です。
 どこの国でしょうか?

 
インドネシアマレーシアです。
 2013年の上半期には、前年同期比で、インドネシアからは50%増、マレーシアからは16.5%増の観光客が日本へ来ているそうです。2012年の年間観光客数は、インドネシアからが10万人、マレーシアからが13万人となっています。

 東京には、イスラム教徒のビジネスマンや観光客向けの
HALAL宅配業者もいるとのことです。
  ※『朝日新聞』2013年11月7日(木)夕刊